古本屋を営むご近所さんの謎
近所に古本屋を営んでいるご夫婦が住んでいる。
この古本屋、何度が足を運んだことがあった。古き良き古書店。貴重本には薄紙がかけてある。価値のある本には高額な価格がついているが、一方で1冊100円からのコーナーもあったりする。
狭い店内に大量の本が天井いっぱいまでギッシリ埋まっていて、そのセレクトにもセンスを感じて、個人的にはかなりツボな古本屋だった。
お会計の際、レジにいた女性とちょっとした会話をしたこともある。ぼんやりとした印象のみで、顔などは覚えていない。
数年前、近所に30代くらいとおぼしき若い夫婦が引っ越してきた。
はじめて挨拶した際、そのご夫婦は、自分たちは古書店を営んでいることを伝えてきた。
そのとき、「ああ!?あの古本屋の人たちなのか!」と衝撃だった。もちろん顔は覚えていなかったし、向こうも数回来店した程度の私を覚えてはいない。
自分がその古書店に行ったことがある旨は伝えなかったし、残念ながら行きづらくなってしまった。なんとなくどんな本を買うかって、近所の人に見られたくないなって思いがあった。
それで・・このご夫婦がかなり謎なんだ。
個人的な体感なのだけど、あの規模の古本屋で生計を立てるのは相当厳しい。ネット通販とかやってるのかな?と思ったけど、サイトを見てみてもオンラインショップはやっておらず、実店舗のみ。ときどき古本市みたいな催事に出店しているみたいだけど、それほど収入が見込めるとは思えない。
そして、この古本屋、週に3日しか開いてない。そう、週4日は定休日なんだ。
これで一体どうやって生活しているのだろう?
このご夫婦には小さなお子さんがいるし、これから教育費などお金がかかるだろう。
やっぱり副業というか、兼業で何かやっているのかな?と考えるとしっくりくる。フリーランスで在宅で仕事をしているのかな?っていうのが一番ありうるかなあ。
感じのよいご夫婦だし、何より彼らの本のセレクトが私を信用させる。ああいう古本屋を営んでいる人たちだから、ちょっと自分と近いものを(私が勝手に)うっすらと感じる。
彼らのベールに包まれた生活にちょっとだけ興味を抱く。
まあ、ちょっとだけ、だ。
世の中には思った以上にいろんな人たちがいる。自分の周りの毎日会社へ行って働いてサラリーを得る人たちばかりに囲まれていると、世界が歪むなあ。
当たり前とされている働き方をしていない人たちって、案外多い。
一体どうやって生活しているのだろう?と想像するけど、意外とどうにかなっているんだろう。